西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
統計
高齢爪白癬患者におけるホスラブコナゾールの臨床効果と安全性の検討
~前期高齢者と後期高齢者における比較~
大久保 絢香花田 美春宮崎 義則
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 84 巻 3 号 p. 233-237

詳細
抄録

爪白癬は高齢化に伴い有病率が上昇する慢性かつ難治性の疾患であり,特に高齢者においては爪の肥厚に伴う下肢機能の低下から,歩行困難や転倒などのリスクが高くなるため,高齢者における爪白癬の治療意義は大きい。ホスラブコナゾールは,2018 年に上市された経口抗真菌薬であり,治験では 75 歳未満の高齢者への有効性は確認されているものの,75 歳以上の後期高齢者においては検討されていない。そこで本研究では,後期高齢者に対するホスラブコナゾールの有効性ならびに安全性について検討した。当院皮膚科にて爪白癬の診断を受け,内服治療を希望した前期高齢者(64 名:男性 31 名,女性 33 名)および後期高齢者(121 名:男性 59 名,女性 62 名)を対象とし,ホスラブコナゾールを 12 週間投与した。投与期間および観察期間中の副作用や有害事象の頻度を算出し,治療の有効性は投与開始 48 週後の第 1 趾爪甲混濁比と完全治癒率により評価した。経過中,両群間で副作用や有害事象の頻度に有意差はなかった。投与 48 週後の第 1 趾爪混濁比の減少率は各々前期高齢患者群で 86.9%,後期高齢患者群で 82.0%と有意差なく低下し,完全治癒率は前期高齢患者群 66.7%,後期高齢患者群 63.3%と同様に高い数値を示した。ホスラブコナゾールは後期高齢者においても高い臨床効果があり,比較的安全な爪白癬治療法である。

著者関連情報
© 2022 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top