西日本皮膚科
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症例
Neutrophilic figurate erythema の 1 例
中川 浩一東田 理恵徳田 一三岡林 綾福本 隆也
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2025 年 87 巻 2 号 p. 155-157

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抄録

79 歳,男性。既往歴に高血圧がある。初診の 1 カ月ほど前から左前腕の中枢側に小さな紅斑が出没を繰り返し,次第に拡大,腫脹した。初診時には 8×4 cm の環状の紅斑を認めた。環の部分は皮表よりわずかに盛り上がり,強い浸潤を触れた。環の部分からの病理組織像では角層や表皮に著変はなく,真皮乳頭層には著明な浮腫があった。その下方から真皮中層にかけて稠密な炎症細胞浸潤が観察された。真皮に浸潤している細胞のほとんどが好中球で,一部に好酸球やリンパ球,組織球も混じた。以上の所見から neutrophilic figurate erythema(NFE)と診断した。遠心性環状紅斑,シェーグレン症候群および亜急性エリテマトーデスに合併する環状の紅斑,Sweet 症候群,壊疽性膿皮症を臨床・病理組織学的所見から鑑別した。さらに Wu と Hsiao の総説から自験例の各々の所見が NFE として妥当であると結論した。

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