2006 年 55 巻 3 号 p. 293-296
当科において椎弓形成術を施行した圧迫性頚髄症336例の手術成績(JOA score 改善率)を年齢別に比較すると,40歳未満58.1%,40歳代49.1%,50歳代48%,60歳代44.7%,70歳以上36.4%であり,高齢者の成績は劣っていた.しかし,高齢者の圧迫性頚髄症にて手術を施行した群としなかった群を比較すると,JOA score は非手術群では10.1から7.7に低下していたが,手術群では7.3から10.7に改善しており,また,最終経過観察時の歩行不能例は手術群17%,非手術27%であった.しかも,Kaplan-Meierによる初診後5年での生存率は手術群0.915に対して,非手術群では0.745であった.高齢者の圧迫性頚髄症の手術成績は青壮年者の成績に比較し決して満足できるものではないが,自然経過による脊髄症状の悪化を防止し,生命予後にも好影響をあたえるものと考えられる.