整形外科と災害外科
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胸椎破裂骨折に伴う関連痛との鑑別を要した腸恥滑液包炎の一例
山下 英樹岡野 徹永島 英樹豊島 良太高 道也
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2006 年 55 巻 3 号 p. 333-338

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抄録

腸恥滑液包は人体に常在する最大の滑液包といわれ,腫大すると股関節部痛の原因となりうる.我々は胸椎破裂骨折後の関連痛との鑑別を要した腸恥滑液包炎を経験したので報告する.症例は76歳女性.転倒し,第12胸椎破裂骨折を生じた.受傷1か月後より左腸骨から鼠径部,大腿部にかけての疼痛が出現した.股関節単純X線像上,異常所見を認めなかったが,左股関節可動時痛を有しており,鑑別として股関節疾患および破裂骨折に伴う関連痛を考えた.骨折部の安定化を図るためにCTガイド下に第12胸椎椎体形成術を行った.左大腿部の疼痛は軽快したが,腸骨部痛と鼠径部痛は残存した.股関節MRIにて腫大した腸恥滑液包が確認されたため,CTガイド下穿刺を行い,黄色透明な液体を吸引した.腸骨部痛,鼠径部痛は消失した.2週後疼痛が再燃したが,再度穿刺を行い疼痛は消失,歩行可能となった.
股関節部痛を鑑別する上で腸恥滑液包炎は念頭に置かなければならない疾患であると考えられた.

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© 2006 西日本整形・災害外科学会
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