2006 年 55 巻 4 号 p. 416-418
【目的】90歳以上の超高齢者における大腿骨頚部内側骨折術後の生命予後と機能予後を術式別に比較検討した.【方法】1995年から2005年に手術を行った15例を対象とした.Garden分類でStage I,IIに対し骨接合を行った群をA群としStage III,IVに対し人工骨頭置換術を行った群をB群とした.各群間における生命予後を術後3か月後と術後1年時に,機能予後は術後3か月後と最終調査時に比較した.【結果】手術時年齢は平均93.9歳,術後経過観察期間は平均1年8か月間であった.術後3か月以内の死亡例は両群各1例,術後1年時にはA群2例,B群3例であった.機能予後の悪化は術後3か月時には両群各2例,最終調査時にはA群3例,B群2例,計5例33.3%に見られた.【結論】一般に人工骨頭置換術は侵襲が大きいとされるが,超高齢者における大腿骨頚部内側骨折術後の生命予後と機能予後に術式の違いによる大きな差はなかった.