2006 年 55 巻 4 号 p. 508-511
人工膝関節置換術(TKA)において大腿四頭筋approachにはいくつかの方法がある.今回,MIS TKAに行ったVMO snip(mini-mid vastus)approach 22例とquad sparing approach 23例において,周術期成績を比較検討した.手術時間ではquad sparingの方がより時間を費やしていた.術後出血では有意差はなかった.SLRはどちらも術当日か翌日と早期に可能であったが,両群間に有意差を認めなかった.術後可動域では,VMO snipで伸展-2から屈曲120.5度,quad sparingで伸展-3.3から屈曲116度と,有意差はなかった.大腿四頭筋の侵襲を考慮すると,quad sparingの方がより低侵襲であると思われる.しかし,手技的により困難であり,術後成績に差がなければ,術中合併症をおこさないためにも,より簡便な方法を選択するのも一つの方法と思われた.