2007 年 56 巻 1 号 p. 37-41
C1,2の椎弓に発生し,ミエロパチーを呈した骨軟骨腫の1例を報告した.症例は45歳女性.両手指のしびれと巧緻運動障害が徐々に増悪し,初診.四肢痙性麻痺であり,JOA score は13点であった.CT では C1椎弓左側下縁および C2椎弓左側上縁から,脊柱管内に突出した骨性隆起を認めた.MRI では同部位に T1,T2強調像とも low intensity area を認め,左後方から,高度に硬膜を圧排していた.C1,2の椎弓から発生した骨腫瘍によるミエロパチーと診断し,椎弓切除術を施行した.病理学的所見から骨軟骨腫と診断された.術後1週から歩行器歩行を開始とした.現在,四肢の腱反射亢進は残存するものの,ADL 上支障なく,腫瘍の再発も認めない.本例はミエロパチーを呈し,画像上の圧迫も明らかであり,しかも,症状が増悪傾向であるため,手術適応とした.脊柱管内発生骨軟骨腫では症状が比較的軽度でも早期に摘出術を考慮すべきと考える.