整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
ホルモン療法が著効した前立腺癌の腰椎硬膜外転移の一例
森本 忠嗣浅見 昭彦前田 和政釘本 康孝可徳 三博
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 56 巻 2 号 p. 242-245

詳細
抄録

前立腺癌の硬膜外転移に対してホルモン療法を行い,短期間に腫瘍の縮小がみられた1例を経験したので報告する.【症例】80歳,男性【現病歴】体動困難な腰痛・右下肢痛のため,当院に救急搬送された.右下腿外側から足背にかけての痛覚低下を認め,右前脛骨筋が2レベルと低下していた.腰椎MRIでは,L5椎体背側にφ2cm程のT1高信号,T2低信号の硬膜外病変を認めた.血液生化学所見ではALP 3030IU/l,PSA 57.7ng/mlと高値を示し,骨盤CTで前立腺異常を指摘された.泌尿器科にて前立腺癌と診断されたため,前立腺癌の腰椎硬膜外転移(による右L5根症)と診断し,ホルモン療法を開始した.ホルモン療法開始後3日で腰下肢痛は軽減し,右前脛骨筋は4レベルに改善した.10日後のMRIでは,腫瘍は著明に縮小していた.半年後のMRIでも腫瘍の縮小は維持され,疼痛の再燃や神経学的所見の悪化は認めていない.

著者関連情報
© 2007 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top