整形外科と災害外科
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多関節人工関節置換術後にくびれを伴う総腓骨神経麻痺をきたした症例の治療経験
浅見 昭彦釘本 康孝森本 忠嗣
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2007 年 56 巻 2 号 p. 287-289

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抄録

前・後骨間神経麻痺における神経のくびれはその成因として着目されている.しかし,下肢の神経におけるくびれの存在は我々の渉猟し得た限りではない.今回,左総腓骨神経麻痺の術中所見で神経にくびれが存在した症例を経験したので報告する.症例は74歳,女性.RAにて平成15年4~5月に両側THA,左TKAを行ったが,特に誘引なく6月始め頃より左総腓骨神経麻痺症状が出現した.完全麻痺であったこと,原因不明であったこと,Tinel様微侯がなかったこと,1ヶ月保存的治療を行うも改善傾向がなかったことから7月に神経剥離術とRAのためのADL障害を考慮に入れて機能再建術を行った.術中所見では神経剥離を行うと浅腓骨神経にくびれがみられた.再建術は後脛骨筋腱を移行するWatkins-Barr法に準じて行った.本症例は神経にくびれがみられたことにより,多数回手術によるストレスが原因での神経炎の可能性があると思われた.

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© 2007 西日本整形・災害外科学会
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