整形外科と災害外科
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下垂足を呈した胸腰椎移行部椎体骨折の治療経験
鮫島 浩司川内 義久佐々木 裕美小宮 節郎
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2007 年 56 巻 3 号 p. 380-383

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抄録

(目的)胸腰推移行部椎体骨折にて主に下垂足のみの症状を呈し手術療法を実施した2症例を経験したので報告する.(症例)症例1.85歳女性.Th12の圧迫骨折を受傷し保存治療を実施していたが,3ヶ月経過後より両下垂足が出現した.脊髄造影(動態撮影)にて脊髄円錐上部の圧迫を認め,前方除圧固定術を実施し筋力の改善が得られた.症例2.86歳男性.L1圧迫骨折後6週後より両下垂足を呈し,MRIにては硬膜への圧迫がみられず診断に難渋したが脊髄造影(動態撮影)にてL1の偽関節による円錐上部症候群と診断し,椎体形成術を実施したが,麻痺は軽度改善にとどまった.(考察)胸腰推移行部病変にて,様々な下肢症状を呈することは知られているが,下垂足のみの症状の場合,診断が見逃されることも多い.両側下垂足を認めた場合は脊髄円錐上部症候群を疑う必要もある.

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© 2007 西日本整形・災害外科学会
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