整形外科と災害外科
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良性骨腫瘍との鑑別を要した大腿骨遠位軟骨肉腫の一例
廣津 匡隆横内 雅博有島 善也瀬戸口 啓夫山下 芳隆神囿 純一救仁郷 修石堂 康弘小宮 節郎
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2007 年 56 巻 3 号 p. 453-457

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抄録

5 歳女性.5年前に転倒し,前医のレントゲンにて偶然,左大腿骨遠位内側に約3 cm径の辺縁硬化像を伴う骨陰影を指摘された.疼痛などの自覚症状がなかったことより,良性軟骨系腫瘍として経過観察していた.定期的X線撮影にて,腫瘍径の増大なく,経過を見ていたが,本人の希望にて10ヶ月前に骨生検術を行ったところ,軟骨肉腫の診断であった.X線にて石灰化,辺縁硬化像あり,MRIにてT1低輝度,T2高輝度,辺縁のみ造影効果を認めた.広範切除術と自家腸骨移植術,さらにプレート固定を行い,再発,遠隔転移なく経過良好である.最終病理はgrade 2の軟骨肉腫であった.振り返って検討すると,X線上,偏在性であり,endosteal scallopingや皮質骨膨隆も認め,悪性を疑う所見も存在するようである.このように悪性が少しでも疑われる症例では骨生検術を早期に行い,診断を決定することが重要であると考える.

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© 2007 西日本整形・災害外科学会
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