2008 年 57 巻 1 号 p. 47-49
当院にて2000年1月~2005年12月に行った下腿及び大腿切断術55例56肢についてretrospectiveに調査しその予後及びそれに関与する危険因子につき検討した.またKaplan・Meier曲線を用いて生存率を計算した.閉塞性動脈硬化症(ASO)や糖尿病(DM),虚血性心疾患,透析などの基礎疾患を合併した患者が多く,調査時37人が死亡していた.義足による歩行が実用化したものは全体で5人であった.Kaplan-Meier生存曲線では全体の1年生存率は59.6%,2年生存率は53.5%と諸家の報告と変わらなかったが,5年生存率は17.9%と他のstudyに較べかなり低かった.また透析患者,特にDMを合併した透析患者群と虚血性心疾患患者群で生存率に有意差が出た.特に糖尿病性腎症の患者に対しては足病変の病態把握のみならず生命予後をも考慮に入れた上でADLよりもQOLを重視した切断高位選択などの慎重な対応が必要と思われる.