2008 年 57 巻 1 号 p. 50-53
強直膝の3症例に対し四頭筋形成(Thompson法)を併用したTKAを施行した.内側傍膝蓋切開で進入し,大腿直筋を内外広筋より切離した.関節包は膝蓋骨の内外側で解離し,関節内の線維性の癒着を剥離した.中間広筋は必要に応じ膝蓋骨付着部で切除し,閉創時には遠位での内外広筋の再縫着は行わなかった.症例1,2では時間経過とともに可動域が低下したが,症例1は術前可動域0°が最終調査時-5°~115°に,症例2は-5°~40°が0°~75°に改善しJOAスコア(日整会治療判定基準)は,症例1は30点が90点に,症例2は30点が85点に改善した.1例は大腿骨顆部骨折(症例3)を合併し,LCP(locking compression plate)を用いて骨接合術を施行した.可動域は0°~40°と制限され伸展不全が残存したが,JOAスコアは20点から57点に改善した.現在,3症例とも疼痛なく独歩可能である.