整形外科と災害外科
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腰椎に初発し,経過中に多発したLangerhans cell histiocytosisの1例
竹内 直英島田 信治菅 尚浩大場 寛八反田 洋一別府 達也河合 浩二竹下 都多夫佐藤 陽昨楊 昌憲井原 和彦
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2008 年 57 巻 1 号 p. 68-73

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抄録

5歳,男児.プールで遊んだ後に急に腰痛を自覚し,歩行困難となり救急搬送となった.上位腰椎正中部に限局した圧痛を認めたが,腰椎Xpでは異常所見を認め得なかった.MRIでL2椎体に異常信号を,CTで骨折と腫瘍性病変を認めた.血液検査では好酸球とALPの上昇を認め,Langerhans cell histiocytosis(LCH)を第一に考えた.骨シンチではL2椎体のみに異常集積を認め,保存治療を行い受傷7週後に独歩退院した.受傷3ヵ月後のMRIでT5椎体に新たな骨折とCalv扁平椎を,Xpで頭蓋骨に径1cmのpunched-out lesionを認めた.頭蓋骨より生検術を施行しLangerhans細胞の浸潤を認め,多病変のLCHと診断して化学療法(Ara-C,VCR,PSL)の適応となった.LCHは組織球増殖による骨融解病変であり,良性腫瘍だが時に多発する.自験例に文献的考察を加えて述べる.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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