整形外科と災害外科
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右肘,上腕の木村氏病の1例
釘本 康孝浅見 昭彦森本 忠嗣
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キーワード: 木村氏病, 好酸球増加症, IgE
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2008 年 57 巻 2 号 p. 300-302

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抄録

今回我々は右肘,上腕の木村氏病の一例を経験したので報告する.症例は46歳男性.平成17年4月より右肘外側の腫瘤に気づき,6月に紹介受診した.局所所見は右前腕近位外側に8×5×5cm,上腕内側に8×5×5mmの腫瘤を認め,弾性硬,可動性はやや不良であった.MRIではT1強調像で筋肉よりわずかに高信号,T2強調像では不均一に高信号の分葉状の不整な腫瘤を認めた.上腕内側の腫瘤も同様の性状を示した.生検では悪性腫瘍は否定的であったが,確定診断には至らず,腫瘍切除術を行った.上腕内側の腫瘍は正中神経より発生した神経鞘腫様であり核出術を,腕橈骨筋内の腫瘍は筋肉と連続していたので辺縁で切除した.病理所見は横紋筋内に浸潤性にリンパ組織増生を伴う肉芽腫像がみられた.濾胞内には好酸性のフィブリンの析出を認め,木村氏病が考えられた.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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