整形外科と災害外科
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外傷性股関節後方脱臼に両側大腿骨転子部骨折を合併した一例
渡嘉敷 卓也田中 宏明宮崎 義久永島 雅人稗田 寛
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2008 年 57 巻 3 号 p. 401-405

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抄録

外傷性股関節後方脱臼に両側大腿骨転子部骨折を合併した非常に稀な症例を経験したので報告する.【症例】74歳男性,車を運転中に中央分離帯に衝突し受傷.右臼蓋骨折を伴う股関節後方脱臼,両側大腿骨転子部骨折,右膝蓋骨開放骨折を認めた.【経過】同日,右股関節脱臼整復,右臼蓋骨接合術,両側大腿骨転子部骨接合術,右膝蓋骨骨接合術を施行した.術後7週で右大腿骨頭よりラグスクリューのカットアウトを認めたため,術後3ヶ月で右THAを施行した.【考察】股関節脱臼に転子部骨折を合併した症例の報告は我々の渉猟しえた範囲ではこれまでに2例の報告のみであった.また,同時に対側の転子部骨折を合併した症例は現在まで報告がない.本疾患の受傷機転については,股関節脱臼後,2次的な外力が働き転子部骨折が発生したと考えられる.経過観察中に,大腿骨頭壊死が認められたが,THAを施行し,歩行能力を維持することが可能であった.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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