2008 年 57 巻 3 号 p. 435-438
脊椎脊髄手術を施行した57例中43例(男30例,女13例)に術後塩酸モルヒネ皮下持続注入法(モルヒネ群),14例(男7例,女7例)に患者の疼痛の訴えに応じてNSAIDsやブプレノルフィン坐薬ないしペンタゾシン筋注による鎮痛処置(従来群)を行った.塩酸モルヒネは1mg/時間で電動シリンジで投与した.術後の疼痛の程度をWong & Bakerのface scaleで看護師が術後72時間まで記録した.術後の疼痛点数は術後6時間から術後28時間まではモルヒネ群が低い傾向にあったが,各時間帯で有意差はなかった.合併症はモルヒネ群に呼吸の浅在化,低血圧を1例ずつ認めたがモルヒネを中止せず改善した.嘔気・嘔吐をモルヒネ群で17例,従来群には認めず有意にモルヒネ群に多かった.術後24時間の鎮痛に塩酸モルヒネ持続皮下注入法は有効だが,治療抵抗性の嘔吐・嘔気が生じた場合,モルヒネを中止せざるを得ない.