整形外科と災害外科
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手指骨感染症に対する抗生剤含有セメントを用いた2例の経験
増田 陽平多田 弘史宮本 雅友本村 悟朗吉村 洋一
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2008 年 57 巻 4 号 p. 595-598

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抄録

手指の骨感染症に対し抗生剤含有セメントを適応した2症例につき検討を行ったので報告する.症例1,61歳男性,透析患者で2005年7月中指壊死に対し環指基節骨切断した,術後5日切断部より排膿を認めた(Serratia感染),そのため再切断とパニマイシン(DKB)含有セメント留置を行った.8週後セメント除去を行った.症例2,57歳女性,糖尿病患者で2006年9月中指に木片が刺さり末節骨MRSA骨髄炎となった.10月デブリドメンとバンコマイシン(VCM)含浸セメント留置を行った.術後浸出液が継続し,中節骨も骨融解したため11月再度DIP関節を含めデブリドメンとVCMとDKB含有セメント留置を行った.13週後セメント除去を行った.1例では再セメント留置を要したが2例とも創部は良好に治癒した.骨感染症に対する治療法として局所の十分な抗生剤濃度を得るため種々の方法がある.抗生剤含有セメント用いた治療は有効な治療法の1つと考えられる.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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