整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
悪性骨腫瘍切除後再建におけるbone transport法の有用性
佐藤 広生薬師寺 俊剛中村 英一岡 潔依光 茂太水田 博志
著者情報
キーワード: 悪性骨腫瘍, 再建, 骨移動術
ジャーナル フリー

2008 年 57 巻 4 号 p. 665-670

詳細
抄録

【目的】悪性骨腫瘍切除後の再建法として骨延長術の1つであるbone transport法を用いた2症例を経験したのでその有用性を報告する.【症例1】8歳女児.骨肉腫(左脛骨近位骨幹端部).術前化学療法を行い手術施行.腫瘍切除後,骨幹端部・膝蓋腱を再建しIlizarov創外固定器にて固定.骨欠損長は6cm.術後1年3ヶ月で骨癒合.現在術後2年で再発・転移は認めず,ISOLSの患肢機能評価では77% で膝装具をつけ歩行.脚長差は1cmで+5°の反跳を認め,膝関節可動域は0~135°,extension lagは5°である.【症例2】4歳男児.Ewing肉腫/PNET(右脛骨骨幹部).術前化学療法を行い手術施行.腫瘍切除後,Ilizarov創外固定器にて固定.骨欠損長は9cm.現在術後6ヶ月で延長中である.【考察】腫瘍用人工関節は長期的には破損や感染といった問題がある.化学療法の進歩により長期生存が可能になった現在,人工関節に頼らない,より生体親和性が高く機能的で耐久性のある再建法が求められるようになってきている.Bone transport法は骨癒合に時間がかかるが最終的には自家骨で再生できる優れた再建法であり有用な選択肢の1つと考えられた.

著者関連情報
© 2008 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top