整形外科と災害外科
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長期生存中の骨外性骨肉腫の2例
佐藤 広生薬師寺 俊剛依光 茂太岡 潔水田 博志
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2009 年 58 巻 1 号 p. 141-145

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抄録

【目的】骨外性骨肉腫は非常に予後不良である.広範切除術後に肺転移を来たし化学療法もしくは肺切除により長期生存中である骨外性骨肉腫の2症例を経験したので報告する.【症例1】58歳男性.2000年8月右下腿後面の腫瘤を自覚.術前化学療法(CDDP)を行い,同年12月20日広範切除術施行.術後化学療法(VAC)を施行した.術後1年4ヶ月で右肺転移を認め,右肺上葉切除術を施行.化学療法(ADM, IFM)を再開し,現在初回術後7年2ヶ月で無病生存中である.【症例2】36歳男性.1998年6月右大腿遠位外側の腫瘤を自覚.同年10月14日広範切除術を行い、術後化学療法(ADM, CDDP)を施行した.術後2年5ヶ月で両肺に多発性の結節性病変が出現し多発性肺転移が疑われ,化学療法(ADM, IFM)を再開した.2ヶ月後病変は消失し,現在術後9年4ヶ月で無病生存中である.【考察】骨外性骨肉腫の5年生存率は25%~37%程度と予後不良とされてきたが,近年,手術に加えて化学療法を行い,5年生存率が60%~70%程度と予後が改善されてきている.我々の症例も広範切除術に加えて化学療法を行っており,そのことが長期生存につながったものと考えられた.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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