整形外科と災害外科
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抗生物質封入ハイドロキシアパタイトが有効であったMRSA化膿性股関節炎の1例
宮崎 健洋肱岡 昭彦原 夏樹大隈 暁戸羽 直樹福田 文雄
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2009 年 58 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

MRSA化膿性股節炎に対して,バンコマイシン封入ハイドロキシアパタイトを使用した1症例を経験したので報告する.76才男性で特に誘引なく右股関節部痛,発熱が出現し,歩行不能となり紹介受診となる.糖尿病の既往で内服中である.MRIおよび,関節穿刺にてMRSA化膿性股関節炎と診断されたため,切開排膿,病巣郭清後,局所持続潅流を一期的に行い,いったん感染徴候は鎮静化したが,3ヵ月後に,症状の再燃を認めた.再手術にて病巣郭清後,抗生物質(VCM)封入ハイドロキシアパタイトブロック充填法を行った.再手術後1年3ヶ月の現在,感染は沈静化し,独歩可能となっている.MRSA化膿性股節炎に対して,バンコマイシン封入ハイドロキシアパタイト(以下,HA)は骨頭の温存できる有効な治療法となりうると考えられた.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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