整形外科と災害外科
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軟部腫瘍診断におけるRT-PCR法を用いた融合遺伝子検出の有用性
山家 健作山下 英樹遠藤 宏治尾崎 充彦南崎 剛尾崎 まり庄盛 浩平吉田 春彦井藤 久雄豊島 良太
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2009 年 58 巻 3 号 p. 473-477

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抄録

軟部腫瘍の診断は,病理組織診断が最終診断となることが多いが,病理組織像が多彩で典型像を示さない例も多く,専門病理医でも診断に難渋する.近年,軟部腫瘍において多くの疾患特異的な融合遺伝子が同定され,診断へ応用されている.今回,RT-PCR法を用いた融合遺伝子の検出が軟部腫瘍の診断に有用であった症例を報告する.症例は滑膜肉腫2例,粘液型脂肪肉腫2例,悪性末梢神経鞘腫瘍1例,孤在性線維性腫瘍1例,類上皮肉腫1例であった.いずれも,臨床所見,術前生検の病理組織所見のみでは確定診断できなかった.滑膜肉腫,粘液型脂肪肉腫は特異的な融合遺伝子が検出された.悪性末梢神経鞘腫瘍,孤在性線維性腫瘍,類上皮肉腫は,特異的な融合遺伝子の存在は報告されていないが,鑑別診断となった融合遺伝子が存在する腫瘍を除外することで診断の補助となった.軟部腫瘍の診断において,融合遺伝子の検出は有用な手段となる.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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