抄録
多発外傷後に生じた尖足に対しTaylor Spatial Frame(以下TSF)を用いて尖足矯正を行った1例を報告する.症例は25歳男性.バイク事故で受傷し当院搬送.多発外傷でInjury Severity Scoreは43点で,左足部開放骨折(Gustilo IIIB)を認めた.同日他の部位の治療とともに足部のデブリードマン及び骨接合術を行った.植皮後の固定期間中に尖足を生じ,皮膚生着後に可動域訓練を行うも背屈制限が著明であったため尖足矯正を行った.33日間で33°矯正し最終的に背屈8°まで矯正した.矯正終了時4週間固定した後にTSFを除去し短下肢装具を着用した.矯正及び固定期間中もストラットを緩め足関節の可動域訓練を行った.除去後は背屈-3°で歩容も改善した.緩徐な変形矯正で軟部組織の合併症を軽減し,web上のプログラムで経過の予想が立てやすい事から,TSFは尖足矯正に有効なデバイスであると考える.