整形外科と災害外科
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稀な原因による肘部管部尺骨神経障害の2例
安岡 寛理中野 哲雄越智 龍弥稲葉 大輔立石 慶和平井 奉博問端 朋
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2009 年 58 巻 4 号 p. 609-613

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抄録

術前診断でガングリオンを疑ったが,異なる原因により尺骨神経障害を来した2例を報告する.症例は70歳と68歳の男性であった.主訴は,環小指の痺れ,肘内側部痛であった.小指の内転障害,尺骨神経領域の知覚低下,Froment sign,尺骨神経のTinel signを認め,MRI上前者は尺骨神経に接する骨棘と長軸方向に伸びるT2 high intensity lesionを,後者は尺骨神経に接するT1 low,T2 high cystic lesionを認めた.術中所見は前者は尺骨神経を圧迫する骨棘が,後者は関節包より連続する嚢腫が尺骨神経に入り込み内部に骨片が存在した.短期間で進行する肘部管症候群の原因にガングリオンがあるが,その特徴として症状出現から手術に至るまでが2カ月前後,変形性肘関節症の合併,肘内側部痛,環小指の著明な痺れがある.本例は所見が合致し,ガングリオンを疑い手術を行ったが,ガングリオンは存在せず骨棘と骨片であった.

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© 2009 西日本整形・災害外科学会
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