整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
小児における転位型橈骨遠位端骨折治療の検討
大塚 亮介井上 周守屋 有二加原 尚明宮本 正長谷井 嬢藤原 紘郎
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 58 巻 4 号 p. 643-646

詳細
抄録

今回我々は,小児の橈骨遠位端骨折のうち,保存的治療を行った群と,pinning手術を要した群とで比較検討し,保存的治療の限界とpinningの適応について考えた.症例は平成18年から当院にて治療を行った撓骨遠位端骨折23例を対象とした.性別は男19例,女4例であった.受傷時年齢は平均11.2歳(5歳~16歳),平均観察期間は7カ月であった.X線側面像にて,angulationとtranslationを計測した.angulationは橈骨長軸に対する遠位骨片の傾きとし,translationは橈骨横径に対する骨片転位の割合として評価を行い,初診時と徒手整復時の比較検討を行った.保存療法群とpinning群の比較では,translationに関しては,初診時が保存療法群に比較してpinning群の方が有意に転位が大きかった.受傷時の転位が軽度でも,背側骨皮質に粉砕を伴う症例で再転位を2例に起こした.受傷時angulation,translationが大きい症例や,たとえ転位が軽度でも背側骨皮質の破壊を伴う症例では,当初からpinningの適応と考える.

著者関連情報
© 2009 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top