2009 年 58 巻 4 号 p. 688-692
症例は37歳女性である.以前より腰痛及び右下肢痛を自覚しており,MRIで仙骨部馬尾腫瘍を指摘された.間欠性跛行を認めたが,下肢筋力,感覚及び深部腱反射は正常であり,膀胱直腸障害はなかった.MRIにてL4-S1にかけて硬膜内腫瘍を認めた.腫瘍摘出術を施行したところ,病理組織はmyxopapillary ependymoma(MPE)であった.MPEの治療は被膜ごとの全摘出が推奨されているが,腫瘍は一塊に摘出できなかったため,40Gyの放射線治療を追加した.術後9ケ月で経過観察中であるが再発は認めていない.MPEの再発は術後長期経過した後にも起こりえるため引き続いての経過観察が必要である.