セメントレス人工骨頭置換術の初期固定性についてbroachingの際に気圧式broaching system(woodpecker)使用群と非使用群について比較検討した.2008年12月以降にセメントレス人工骨頭置換術を使用した40例40関節を対象とし,うちWoodpecker使用群は19関節であった.後療法は全例術後2日目より全加重を許可し,術直後Xpにてステムの髄腔占拠率および経時的X-p正面像においてステムの沈下を計測した.woodpecker非使用群の3例に3mm以上のステムの沈下を認めた.小転子下端レベルでのステムの髄腔占拠率では両群間に有意差はなかった.ただしwoodpecker使用群ではステムの髄腔占拠率のばらつきが少ない傾向を認めた.骨粗鬆症を基盤とする高齢者大腿骨頸部骨折では無理なbroachingによる術中のカルカー部の骨折や,アンダーサイズのステム使用による初期固定性不良が懸念される.woodpecker使用は術者や髄腔形状に関わらない良好な髄腔占拠性の獲得と,術中骨折のリスクが減少する可能性が示唆された.