整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
脱臼性股関節症に対して大腿骨転子下斜め骨切り術を併用してTHAを行った1例
村上 勝彦角南 勝利
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 59 巻 1 号 p. 131-134

詳細
抄録

脱臼性股関節症に対するTHAは手技が困難で,リハビリにも長期を要する.著明な脚短縮や筋力低下,手術手技が主因である.我々は大腿骨転子下斜め短縮骨切り術を併用してTHAを行った症例を経験したので報告する.症例は71歳女性.股関節脱臼の既往があるも治療を受けることなく,また脚長差があるも痛みがないため放置していた.誘因なく股関節痛が出現し,対症療法を行うも効果がないためTHAを施行した.後方アプローチでS-ROM-Aを用いた.cupを原臼位まで55mm引き下げ,大腿骨を転子下で15mm切除した結果40mmの脚延長となったが,神経麻痺は認めていない.術後6ヶ月で骨癒合は良好,疼痛なく,歩容および股関節周囲の筋力も改善した.脱臼性股関節症に対するTHAでは延長過多による神経障害や大転子切離によるトラブルも多い.転子下斜め短縮骨切り術は回旋安定性および接触面積が広くなり骨癒合にも有利で早期リハビリが可能と思われる.

著者関連情報
© 2010 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top