2010 年 59 巻 1 号 p. 8-13
THAにおいて臼蓋カップを適切なアライメントに設置することの重要性は言うまでもない.カップを設置する際は,手術開始時の骨盤傾斜,さらに術中のアライメント変化の影響を受け,術前予定どおり正確に設置するのは困難である.我々は,手術開始前に体位をとったところで骨盤正面X―Pを撮像し,骨盤の側方傾斜角を計測している.また,術前CTを撮像し,予定カップ設置位置における骨性臼蓋縁とカップの位置の関係,すなわちカップと臼蓋外側縁,臼蓋涙痕,臼蓋前縁もしくは骨棘,臼蓋後縁との位置関係を評価し,術中確認の指標としている.術前画像からの情報を詳細に把握することによってカップ設置角度のばらつきをある程度減らすことができる.しかし,術中,人間の感覚でアライメント評価を行うには限界があり,より正確な設置には,局所解剖情報に基づいた計測ツールあるいはナビゲーションシステムが有用であろう.