整形外科と災害外科
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Bowler's Thumbの2症例
吉田 紘二村松 慶一田口 敏彦
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2010 年 59 巻 2 号 p. 235-237

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抄録

〔はじめに〕ボーリングにおける指神経障害を呈し,軟部腫瘍と鑑別を要した比較的希な疾患を経験しましたので報告します.〔対象〕31歳男性,19歳女性.〔手術所見〕2症例共に,瘢痕組織が神経を覆うように増生し,神経外膜の剥離と,可及的に瘢痕組織の切除を行いました.剥離後の神経にはneuromaの形成が認められました.病理検査では膠原線維および線維芽細胞の増生が見られ,散在性に細血管の増生を伴っていて,明らかな腫瘍は認められませんでした.〔考察〕Bowler's thumbはボーリングによるover useが原因となり瘢痕組織が腫瘤様に触知される偽性神経腫と,FPLの走行に一致して滑膜の増殖を来す2つの病態が報告されています.基本的には保存的治療が行われますが,保存的治療に抵抗する症例や,確定診断のために手術を行います.診断に関しては,neurofibrosisという病態を認識し,詳細な問診をとることで,鑑別疾患に挙げる事が重要と考えました.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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