2010 年 59 巻 3 号 p. 432-436
【目的】透析患者に対する脊椎手術について検討し報告する.【対象と方法】1998年4月から2008年11月までの間に当科で脊椎手術を行った透析患者20例21症例(平均透析期間16.1年,平均年齢64歳,男性16例,女性4例)を対象とした.疾患の内訳は,頚椎病変14例,胸椎病変1例,腰椎病変6例であった.以上について術式,手術成績,術後経過を検討した.【結果】頚椎病変のうち破壊性脊椎関節症(以下DSA)のうち椎体破壊,すべり症,不安定性を認める症例6例には後方除圧固定術を施行した.椎体破壊の軽度なDSA 3例,硬膜外アミロイド沈着4例,頚椎硬膜外石灰化症1例には除圧術のみ施行した.胸椎例には除圧術を施行した.腰椎病変6例のうち,2例に固定術を併用した.術後早期に2例が死亡した(心筋梗塞,脳出血).固定術を行った症例は,術後成績は安定していたが,除圧例では経年的に悪化する症例が散見された.