整形外科と災害外科
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液体窒素処理骨で再建した大腿骨遠位部骨肉腫の1例
米田 晋前原 博樹當銘 保則田中 一広金谷 文則
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2010 年 59 巻 3 号 p. 472-475

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抄録

左大腿骨遠位部の骨肉腫に対して,術前化学療法後に広範切除術および液体窒素処理自家骨を用いた再建術を施行し,膝関節を温存し得た症例を経験したので報告する.症例は9歳男児,主訴は左膝痛であった.2週間前より特に誘因なく左膝痛が出現した.近医にて悪性骨腫瘍を疑われ,当科へ紹介された.単純X線像で左大腿骨骨幹端外側に不整な骨硬化像とCodman三角を認めた.MRIでは,左大腿骨遠位に骨端線を越えてT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈し,強い造影効果を示す骨外病変を伴う腫瘍性病変を認めた.切開生検術を施行し,骨形成型の骨肉腫と診断した.術前化学療法を行い,広範切除術および液体窒素処理自家骨を用いた再建術を施行した.術後6ヵ月で再発・転移なく,坐骨支持免荷装具を用いて独歩可能である.骨接合部には仮骨を認め,液体窒素処理骨の圧潰,骨折は認めず,良好な患肢機能が得られている.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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