2010 年 59 巻 3 号 p. 481-485
【はじめに】当科において8例の大腿骨遠位部に発生した悪性骨腫瘍に対して,腫瘍用人工関節KLS systemを用いて治療を行った.今回その治療成績を調査した.【症例】男性5例,女性3例.手術時時平均年齢は34.9(16-69)歳であった.疾患は,傍骨性骨肉腫3例,骨肉腫2例,骨原発平滑筋肉腫2例,Ewing肉腫1例であった.術後経過観察期間は6ヵ月~5年6ヵ月(平均2年7ヵ月)であった.【結果】術後,腫瘍の再発・転移をみとめた症例はなかった.全例独歩可能であった(歩行時杖使用3例).1例で大腿骨ステムが折損し再置換を行った.膝関節の平均可動域は,屈曲89.4(45~120)度,伸展-2.5(-10~0)度であった.【考察】今回,短期成績であるが,KLS systemは比較的良好な術後成績が得られた.しかしながら成績不良例も含まれており,更なる治療成績向上のために,本システムの問題点や用いる際の注意点を明らかにしたい.