整形外科と災害外科
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高齢者上腕骨遠位端骨折に対するLCP Distal Humerus Plateの使用経験
中馬 東彦野村 一俊橋本 伸朗福元 哲也前田 智松下 任彦平井 奉博
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2010 年 59 巻 3 号 p. 523-527

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抄録

治療に難渋しやすい高齢者の上腕骨遠位端骨折に対し,LCP Distal Humerus Plate(以下LCP-DHP)を用いて手術を行った症例を経験したので報告する.2008年7月から2009年7月までに当院にて手術を行った65才以上の上腕骨遠位端骨折症例は11例で,年齢は平均76.5才.全例女性で,AO分類ではtype A2が7例,A3,B1,B2,C2が各1例であった.内固定はLCP片側固定が5例,LCP両側固定が3例,外側LCP+中空螺子固定が3例だった.術後合併症として1例にロッキングスクリューのカットアウトを生じ再手術となったが,他はすべて骨癒合が得られた.LCP-DHPは上腕骨遠位端骨折の固定を目的に開発されたanatomical locking plateで,これまで難渋していた骨粗鬆の骨折でも術後高い安定性を得ることが出来る.これにより早期の可動域訓練を開始することが可能であるが,強度の骨粗鬆症骨折ではスクリューのカットアウトを起こす可能性があるため,ダブルプレーティングが望ましく,かつ術後リハビリは慎重に行う必要がある.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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