整形外科と災害外科
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治療に難渋した踵骨アキレス腱付着部裂離骨折の一例
柳澤 哲大中村 英一田中 あづさ鬼木 泰成西岡 宏晃水田 博志
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キーワード: 裂離骨折, 踵骨, 糖尿病
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2010 年 59 巻 3 号 p. 536-540

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抄録

われわれは治療に難渋した踵骨アキレス腱付着部裂離骨折の一例を経験したので報告する.症例は34歳,女性で,既往に1型糖尿病があった.階段を踏み外し左踵部を打撲した際,左踵部痛を自覚した.近医にて踵骨アキレス腱付着部裂離骨折と診断され当院へ紹介となった.初診時,左踵部に骨性膨瘤と皮下出血を認め,単純X線では踵骨隆起部が上下2つに割れ,上方の骨片は近位へ著明に転位していた.裸子による骨接合術後4日目に誤って左足を着き近位骨片の再転位をきたした.suture wireにより再固定し,超音波療法を併用した.また創部の皮膚に潰瘍を生じ悪化したため,高圧酸素療法や皮弁形成術を施行した.現在は術後半年が経過し,骨癒合は得られ皮膚潰瘍も完治している.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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