整形外科と災害外科
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65歳以上の大腿骨近位部骨折手術症例の生命予後および予後因子の検討
金丸 由美子西村 誠介井上 拓馬島内 誠一郎白石 雅也
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2010 年 59 巻 3 号 p. 601-605

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抄録

【目的】65歳以上の大腿骨近位部骨折手術症例の生命予後および予後因子について検討すること.【対象と方法】2003年1月から2008年12月までに当院で手術を行った627例を対象に,カルテ・郵送質問による調査を行い,死亡率の推移,死因,手術待機日数,術式について検討した.【結果】5年生存率は63.5%,術後1年死亡率は14.1%で最も高かった.死因の83.5%は術後新たに発症した疾患で,肺炎が最多だった.術前合併症の有無,手術待機日数により死亡率に有意差は認めなかった.1年死亡率は年々減少しており,術式の推移と相関していた.sliding hip screw(以下CHSタイプ)はshort femoral nail(以下γタイプ)の1.4倍死亡率が高かったが,調査当時当院ではCHSタイプはγタイプよりも離床時期が遅かった.【結論】大腿骨近位部骨折は生命予後不良因子であり,特に術後1年死亡率が高かった.術前合併症の有無,手術待機日数は死亡率に影響せず,術後早期離床により新たな合併症の発症を防止することで死亡率が減少する可能性が示唆された.

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© 2010 西日本整形・災害外科学会
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