2010 年 59 巻 4 号 p. 727-731
圧迫性頚髄症に対する椎弓形成術は,術後の軸性疼痛,頚椎可動域の減少,頚椎アライメントの後弯化が問題とされる.従来法(伊藤法変法)に白石法に準じた展開を用いることで術後成績に変化があるかを検討した.2006年3月から2008年10月までに棘突起縦割展開にて椎弓形成術施行し1年以上経過観察し得た22例とそれ以前に棘突起を切除する椎弓形成術を施行し1年以上経過観察し得た12例を比較した.手術時間・術中出血量・手術時年齢・JOAスコア改善率に両群間に有意差はなかった.術後頚椎可動域は縦割群73%,切除群77%に減少したが有意差はなかった.頚椎アライメントは両群とも術前と有意差なく保たれていた.軸性疼痛の発生頻度に両群間に有意差を認めなかった.従来法に深層伸筋群を温存する展開を用いても頚椎可動域減少度・前弯角度・軸性疼痛は従来法と術後成績に差を認めなかった.