2010 年 59 巻 4 号 p. 836-839
【症例】63歳男性.1年前に左肩甲部腫瘤が出現し,徐々に病変が増大したため当科を紹介され受診した.左肩甲背部に径10cmの弾性硬,可動性不良な腫瘤を触知し,発赤,局所熱感,圧痛は認めなかった.MRIにてT1WI,T2WIともに高信号と低信号の混在を認め,Gd造影で軽度増強効果を認めた.針生検を行いChronic Expanding Hematoma(以下CEH)と診断されたため経過観察するも,その後のCTにて右肺の結節性病変が出現し,両病変とも増大傾向を認めたため,左肩甲部の病変に対して腫瘍切除術を施行し,肺病変に対してCTガイド下針生検を行い,病理組織学的検査で各々CEHおよび肺扁平上皮癌と診断された.【考察】通常のMRIではCEHは悪性軟部腫瘍との鑑別が困難な症例が存在する.本症例ではさらに原発性肺癌を合併しており転移性肺腫瘍との鑑別が必要であった.