2010 年 59 巻 4 号 p. 847-851
妊婦に発症した化膿性仙腸関節炎の1例を経験したので報告する.22歳,女性.妊娠26週に誘引なく左臀部痛,左大腿部痛が出現し,炎症反応を認めた.腰椎MRIにて椎間板ヘルニアはなく,水腎症があり,腎盂腎炎を疑った.血液培養で黄色ブドウ球菌を検出した.抗生剤の投与にて症状軽減し退院したが,すぐに疼痛の再燃があり再入院となった.MRIで化膿性仙腸関節炎と診断した.抗生剤を3週間投与し,炎症反応は消失し疼痛も軽減した.一般的に化膿性仙腸関節炎の診断には苦慮することが多く,妊婦での発症も特に考慮する必要がある.