整形外科と災害外科
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足関節骨折術後にclaw toeを来した一例
塚本 正紹古市 格村田 雅和宮田 倫明森口 昇依田 周江頭 秀一
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2011 年 60 巻 1 号 p. 112-116

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抄録

【はじめに】下腿外傷後に発症する鉤爪趾(claw toe)は,比較的稀な合併症である.今回,足関節骨折後にclaw toeを来した症例を経験した.【症例】67歳女性.農作業中に転倒し,重機に左足関節部を轢かれて受傷.足関節内果骨折を認めた為,骨折に対し観血的骨接合術を施行.術後2週間外固定後,部分荷重より歩行を開始.術後4週で退院.しかし術後6週頃よりclaw toeが出現し,歩行障害を来した為,術後3.5ヶ月で手術を行った.術中長母趾屈筋腱の筋腱移行部のやや近位で強く癒着した瘢痕組織を認め,これを切除し腱剥離を行うと,足趾の変形が改善された.【考察】claw toeの原因は様々あるが,本症例では直達損傷による長母趾屈筋の癒着が原因と考えられた.長母趾屈筋は長趾屈筋に交叉枝を出し,全趾の屈曲に影響することが多い.そのため長母趾屈筋腱の癒着剥離のみで変形を矯正でき,良好な成績を得ることができた.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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