整形外科と災害外科
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肘関節授動術の経験
―成績不良例の検討―
鶴田 敏幸峯 博子
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2011 年 60 巻 3 号 p. 378-385

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抄録

変形性肘関節症患者に対する関節授動術の成績を調査し,その成績不良例に対する検討を行なった.対象は2001年10月以降に手術施行した26名26肘(男性20名20肘,女性6名6肘,平均年齢54.0歳)であった.術前屈曲平均97.7度から術後118.3度,術前伸展平均-25.6度から術後-11.2度へと有意に改善した.術後のJOAスコアは平均28.9点であり,全体として術後成績は良好であった.26名26肘中,屈曲110度以下,伸展-20度以下,JOAスコアの疼痛が20点以下のいずれかに該当したものを成績不良例と定義し,成績不良因子に対する検討を行なった.成績不良例は6名6肘であり,内側の骨棘切除が不十分であった症例には成績不良例が有意に多かった(45.5%).今回の結果より,変形性肘関節症患者に対する関節授動術において良好な成績を得るためには,関節の前方,後方ばかりではなく,滑車内側,肘頭内側の骨棘切除を前方から後方まで十分に行なうことが重要と考える.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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