整形外科と災害外科
Online ISSN : 1349-4333
Print ISSN : 0037-1033
ISSN-L : 0037-1033
当科で経験したフルニエ壊疽の1例
 
佐田 潔宮本 俊之浅原 智彦福島 達也田口 憲士岡崎 成弘上戸 康平進藤 裕幸
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 60 巻 3 号 p. 592-597

詳細
抄録

未治療の糖尿病を基礎疾患としフルニエ壊疽を発症した症例を経験したので報告する.【症例】42歳女性.左外陰部のしこりに気付き,近医受診し抗菌薬を処方されたが症状の改善なく当院産婦人科受診,軟部組織感染が疑われ当科紹介となった.体温38.8℃,左外陰部から左大腿内側に発赤と腫脹を認め,血液検査でWBC16500/μl,CRP26.4 mg/dlと高度の炎症所見を認めた.単純X線で左鼠径部にガス像を認め,MRIで壊死性筋膜炎,フルニエ壊疽と診断し緊急デブリードマンを行った.創部には悪臭があり,皮下組織の壊死を認めた.2日後デブリードマンを追加し創部に皮膚欠損を生じたため局所陰圧閉鎖処置を開始した.感染は沈静化し,肉芽形成が良好となった時点で植皮により閉創した.【考察】フルニエ壊疽は診断が遅れると致死的な疾患であるが,MRIによる早期診断と壊死範囲の確定,早期のデブリードマンが有用であった.

著者関連情報
© 2011 西日本整形・災害外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top