整形外科と災害外科
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化学療法が著効した背部未分化型肉腫いわゆる悪性線維性組織球腫(MFH)の肺転移,局所再発の一例
西田 顕二郎前川 啓横山 良平
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2011 年 60 巻 4 号 p. 661-663

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抄録

【はじめに】転移を来した肉腫は,化学療法への反応の良し悪しにかかわらずその予後は不良である.今回われわれは,肺転移と局所再発を同時にきたした背部未分化型多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma: UDPS)いわゆる悪性線維性組織球腫(MFH)に対し,メスナ,アドリアマイシン,イホスファミド,ダカルバジン(MAID)を用いた化学療法を行い,局所再発,肺転移が画像上消失した症例を経験したので報告する.【症例】61歳男性,3カ月前より左上背部に腫瘤を自覚.1カ月前に近医受診し腫瘍切除術施行.病理診断の結果UDPSであったため,当院紹介受診となった.追加広範切除術施行したが,術後2カ月で発熱および局所の疼痛を来し,胸部CTにて局所再発および両肺に多発肺転移を認めた.そこでMAID療法4コース施行したところ再発病変および両肺転移病変は消失した.その後,局所に60Gyの放射線照射を行い,さらにMAIDを2コース追加した.著効確認後5カ月の現在も再燃を認めていない.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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