整形外科と災害外科
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MRSA化膿性脊椎炎16例の検討
吉松 弘喜海江田 康光吉田 健治神保 幸太郎田中 憲治坂井 健介後藤 琢也瀧 健治山下 寿佐藤 公昭永田 見生
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2011 年 60 巻 4 号 p. 667-670

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抄録

16例のMRSA化膿性脊椎炎について調査を行った.MRSA化膿性脊椎炎の特徴はcompromised hostが多い,先行感染を有する割合が高い,膿瘍合併が多い,麻痺を生じやすい,死亡率が高いとされている.今回の調査では診断時に31%の症例が重症敗血症を合併しており,それらの症例は外科的治療困難で死亡に至っていた.一方,診断時に重症敗血症合併のない症例では再発率,麻痺発生率は高いものの,死亡に至った症例はなかった.従来の報告通り,診断時に重症敗血症を合併している症例では治療に限界があったが,重症敗血症合併のない症例では比較的良好な成績であり,全身麻酔困難例での経皮的病巣掻爬ドレナージの有効な症例を認めた.保存的治療に抵抗性があれば,全身状態をみて早期に低侵襲治療を検討すべきと考えられた.

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© 2011 西日本整形・災害外科学会
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