2011 年 60 巻 4 号 p. 689-691
当科で治療した骨肉腫症例の患肢温存率と,温存の可否に影響する因子を検討した.計27例の症例のうち,初回手術で5例に切断術が施行され,患肢温存率は82%であった.切断術となった理由は,病的骨折が2例,血管神経束の浸潤が2例,全身状態不良(糖尿病)1例であった.患肢温存術後の局所再発2例で切断術となり,最終的な患肢温存率は74%であった.5年生存率は切断例57%,患肢温存例64%であり,一般的な報告と異なり2群間に統計学的有意差を認めなかった.当科の症例では患肢温存率はほぼ諸家の報告と同等であったが,化学療法の効果を高めることが患肢温存率を向上させると考えられた.