2011 年 60 巻 4 号 p. 754-755
第2・3・4趾MTP関節脱臼の1例を経験したので報告する.症例は30歳男性.交通事故で左足部を受傷し,X線像で第2・3・4趾MTP関節背側脱臼を認めた.局所麻酔下に徒手整復を試みたが整復できず,翌日腰椎麻酔下に横切開による背側進入にて観血的整復を行った.中足骨頭背側に乗り上げた底側板と深横中足靭帯が整復阻害因子となっており,底側板を縦切開し整復した.術後は4週間の外固定を行い,経過は良好である.この外傷の病態は足趾の背側脱臼が主体ではなく,中足骨頭が深横中足靭帯の底側に押し込まれる偏位であると考えられた.観血的整復では,背側進入が有用であった.