60 巻 (2011) 4 号 p. 789-792
大腿骨近位部骨折受傷患者の特徴を明らかにするために,受傷前の日常生活動作(以下ADL)のレベルと認知症の有無について調査を行った.対象は2009年9月から2010年1月までの期間に,沖縄県内の21施設で大腿骨近位部骨折の診断で入院加療を行った310人で,受傷前ADLをBarthel indexで,認知症の有無と程度を改訂版長谷川式認知症スケール(以下HDS-R)で評価した.受傷前ADLはBarthel indexで満点が31%,ある程度の自立が期待できる60点以上が64%で,年齢とBarthel indexには相関係数-0.369の負の相関が認められた.HDS-Rで14点以下を認知症有りと判断すると,52%に認知症が認められ,4点以下の高度認知症は27%であった.HDS-Rと年齢には相関係数-0.493の負の相関が認められた.Barthel indexとHDS-Rには相関係数0.681の正の相関関係が認められた.認知症の程度が高度になるにつれBarthel indexの点数が60点未満の者を多く含むようになり,逆に認知症を認めない者ではその多くがBarthel indexの点数は60点以上であった.