2012 年 61 巻 1 号 p. 13-16
【はじめに】diffuse idiopathic skeletal hyperostosis(DISH)は脊椎の著明な骨増殖性変化を特徴とし,脊椎以外の骨増殖病変も併発する疾患である.今回,我々は異常骨化した股関節病変に対し骨棘切除を施行した1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.【症例】症例は79歳女性で,5年前より特に誘因なく左股関節痛が出現した.股関節X線では両股関節の骨化が見られた.徐々に左股関節痛が増強し,歩行や座位などの日常動作が困難となったため,左股関節骨棘切除を行った.術後,股関節痛は消失し,関節可動域の改善が得られた.【考察】DISHの股関節病変に対する治療として,本症例のように関節軟骨が保たれている場合に骨棘切除は有効な方法と考えるが,関節軟骨の損傷を伴う場合はインプラントによる置換術の適応も考慮される.