整形外科と災害外科
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診断に鏡視を要したPredynamic Scapholunate Instabilityの1例
吉田 史郎吉田 健治坂井 健介加藤田 倫宏田中 憲治神保 幸太郎井手 洋平柴田 英哲後藤 琢也山下 寿松岡 良典
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2012 年 61 巻 1 号 p. 50-54

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抄録
静的な手根不安定の診断は比較的容易であるが,前動的な手根不安定症の診断は非常に困難である.今回診断に鏡視を要したpredynamic scapholunate instabilityの1例を経験したので報告する.44才男性とび職人.作業中左手関節背屈を強制し受傷した.前医でギプスシーネによる外固定を10日間受け,一時症状改善したがその後増悪し当院を紹介された.手関節の軽度腫脹,圧痛,可動域制限,握力低下を認めた.単純X線,ストレス撮影,CTでは明らかな異常を認めず,MRIにて手根骨に散在性に輝度変化を認めるのみであった.受傷後6週に鏡視下デブリドマンおよび経皮的ピンニングを行った.鏡視所見では舟状月状骨靭帯の断裂,舟状月状骨間のstep off,gapおよび舟状月状骨間の不安定性を認めた.Predynamic scapholunate instabilityに対する関節鏡は必須であり,丁寧に診察し圧痛の局在など詳細な理学的所見を得ることが診断する上で重要である.
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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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