整形外科と災害外科
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圧迫性脊髄障害の術中モニタリングにおける経頭蓋電気刺激筋活動電位(Br(E)-MsEP)の問題点
猿渡 敦子山田 圭佐藤 公昭密川 守吉松 弘喜渡邊 琢也佐々木 威治中村 翠松田 幸太郎脇田 瞳永田 見生原田 秀樹津田 勝哉牛島 一男
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2012 年 61 巻 1 号 p. 98-104

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抄録

圧迫性脊髄障害の術中モニタリングでは経頭蓋電気刺激複合筋誘発電位(Br【E】-MsEP)の導出に難渋したり,アラームポイントの判定に迷ったりすることが多い.今回,当科で手術を施行した圧迫性脊髄障害(C群)50例と側弯症(S群)36例について2群間のBr【E】-MsEPの導出率および術中波形変化と術後運動障害を調査した.S群では278筋中275筋で導出可能であり,C群では373筋中276筋で導出可能であった.S群では振幅の低下を認めた17例で術後運動障害は認めず,C群では振幅の低下を認めた9例中1例,波形が消失した19例中4例に術後運動障害を認めた.今回の結果より,圧迫性脊髄障害は術前より電気生理学的に変化を生じており,波形の導出が困難になることが考えられ,モニタリングのアラームポイントの設定も脊髄障害がない症例よりも厳格にする必要があると考えられた.

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© 2012 西日本整形・災害外科学会
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